結論から言うと、 多くのチームにとって GPT-5.4 が新しいデフォルト候補 です。OpenAI は 2026年3月5日 に GPT-5.4 を公開し、最新のモデル選択ガイド では複雑な reasoning と coding の出発点として GPT-5.4 を推しています。API や Codex の既定モデルをどうするか、という問いなら、答えはすでに GPT-5.2 から GPT-5.4 に移っています。
とはいえ、GPT-5.2 が完全に不要になったわけではありません。GPT-5.2 は 2025年12月11日 に公開され、input と cached input の単価は今でも低めです。また、ChatGPT Enterprise のモデルと制限に関するヘルプ記事 では、GPT-5.2 が一部の制限や legacy access、RBAC の文脈にまだ残っています。つまり、使いどころは狭くなってもゼロではありません。
このページが答えるべき本当の質問は一つです。いま標準ルートを GPT-5.2 から GPT-5.4 に切り替えるべきか、それとも GPT-5.2 を残すべきか。
要点まとめ
ひとことで言えば、新しい既定ルートは GPT-5.4、GPT-5.2 は例外用 です。
| 項目 | GPT-5.4 | GPT-5.2 | 実務上の読み方 |
|---|---|---|---|
| 公開日 | 2026年3月5日 | 2025年12月11日 | GPT-5.4 が現行 frontier |
| 現在の役割 | reasoning/coding の旗艦 | 前世代 frontier | GPT-5.4 が既定候補 |
| Input 価格 | $2.50 / 1M | $1.75 / 1M | GPT-5.2 の方が安い |
| Cached input | $0.25 / 1M | $0.175 / 1M | 繰り返し文脈では GPT-5.2 が有利 |
| Output 価格 | $15 / 1M | $14 / 1M | 差は小さい |
| Context window | 1,050,000 | 400,000 | GPT-5.4 の余裕は大きい |
| 公開 API 制限 | 見えている tiers は同等 | 見えている tiers は同等 | RPM/TPM 比較ではない |
| 向いている用途 | 新しい標準ルート | 安価な補助レーン、legacy事情 | GPT-5.4 を主線にする |
重要なのは、GPT-5.4 が主線になり、GPT-5.2 は補助線に下がった という点です。
GPT-5.2 から GPT-5.4 で何が変わったのか

最大の違いは、単なるスコア差ではなく 製品としての立ち位置 です。
GPT-5.2 の登場時、OpenAI はこれを professional work、long-running agents、tool calling を支える frontier モデルとして打ち出しました。実際、多くのチームが GPT-5.2 を「ひとまずこれを使えばよい」という標準ルートにしていました。
GPT-5.4 はその位置を引き継ぎました。OpenAI は最新ガイドの中で、GPT-5.4 が API における前世代 frontier である GPT-5.2 を置き換えたと明言しています。これがこのキーワードで最も重要な事実です。つまり、「まだ GPT-5.2 を標準にしておくべきか」という問いに対して、OpenAI 自身の答えはもう変わっています。
さらに GPT-5.4 は、reasoning、coding、agentic workflows を一つの主線モデルとしてまとめています。launch ページでは native computer use と 1M tokens の context も強調されており、単に GPT-5.2 の点数を上げただけではないことが分かります。
この比較は次のように捉えるのが正確です。
- 旧デフォルト frontier と新デフォルト frontier
- 安価で成熟した経路と、より広い仕事を吸収する主線経路
- コスト最適化用レーンと、標準ルート
どのベンチマーク差分を見るべきか
OpenAI は GPT-5.4 の公開ページで GPT-5.2 との差を直接示しています。
| 指標 | GPT-5.4 | GPT-5.2 | 実務上の意味 |
|---|---|---|---|
| GDPval | 83.0% | 70.9% | 実務系タスク全般で強い |
| SWE-Bench Pro | 57.7% | 55.6% | 難しいソフトウェア課題でわずかに優位 |
| OSWorld-Verified | 75.0% | 47.3% | computer use が大幅に改善 |
| Toolathlon | 54.6% | 46.3% | ツール併用ワークフローに強い |
| BrowseComp | 82.7% | 65.8% | 検索や根拠整理が強い |
ポイントは「ほぼ全部勝っている」こと自体ではなく、どの領域で差がついているか です。
GPT-5.4 は、コード生成だけでなく、資料を読み、調べ、ツールを使い、結果をまとめるような混合タスクで差を広げています。特に OSWorld と Toolathlon の差は、現代の agentic 開発フローではかなり大きい意味を持ちます。
OpenAI はさらに、GPT-5.4 は GPT-5.2 に比べて individual factual claims の誤りが 33% 少なく、応答全体に誤りが含まれる確率も 18% 少ないと述べています。技術判断や調査をモデルに任せるチームにとっては、この改善は無視しにくいです。
まとめると、
- GPT-5.4 は全体の既定モデルとして強い
- 特に tool-heavy と長いタスクで差が出る
- GPT-5.2 は十分強いが、もはや主線ではない
OpenAI の coding 系比較をもう一つ見たいなら、関連する GPT-5.4 vs GPT-5.3-Codex も参考になります。
価格、コンテキスト、公開 API 制限

GPT-5.2 を残す最大の理由はここにあります。
| 項目 | GPT-5.4 | GPT-5.2 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| Input | $2.50 / 1M | $1.75 / 1M | prompt-heavy なら GPT-5.2 が安い |
| Cached input | $0.25 / 1M | $0.175 / 1M | 繰り返し文脈も GPT-5.2 が有利 |
| Output | $15 / 1M | $14 / 1M | 大差ではない |
| Context window | 1,050,000 | 400,000 | GPT-5.4 は大規模文脈に強い |
| Long-context caveat | 272K超で 2x input / 1.5x output | 同等の公開倍率なし | GPT-5.4 の大文脈は高価にもなる |
価格面では、GPT-5.4 は確かに高いですが、差の中心は input 側です。長い prompt を大量に送り続けるなら、GPT-5.2 はまだ十分に合理的な安価レーンです。
一方で context の差は非常に大きいです。1.05M と 400K では、1セッションに保持できる情報量がまったく違います。巨大リポジトリや長いドキュメント、長時間の agent 実行では GPT-5.4 の優位がそのまま体感差になります。
ただし、GPT-5.4 のモデルページ は 272K を超える入力に追加係数がかかると明記しています。つまり、大きい context window は本物の利点ですが、無料のボーナスではありません。
なお、公開されている API rate limit tiers は GPT-5.4 と GPT-5.2 で実質同じです。したがって、この比較は「どちらがより高い RPM/TPM を持つか」ではなく、「どちらを主線に据えるべきか」という話です。
API と Codex の視点 vs ChatGPT と Enterprise の現実
ここで多くの比較記事が混乱します。
API と Codex だけを見るなら結論は明快です。
- GPT-5.4 が主線
- GPT-5.2 は前世代
- 新規ワークフローは GPT-5.4 から始めるのが自然
しかし ChatGPT や Enterprise の表面では、GPT-5.2 がまだ shared limits、legacy access、RBAC の文脈に残っています。そのため、ユーザー体験としては「まだ GPT-5.2 も重要そうだ」と見える場面があります。
これは矛盾ではなく、サーフェスが違うだけです。
- API の default recommendation
- Enterprise model picker の実運用ルール
この二つを分けて考えれば、比較の軸はかなり整理されます。
GPT-5.4 を選ぶべきケース

次のような仕事では GPT-5.4 を既定にする価値が高いです。
- 大きなコードベースや長い文脈
- multi-tool workflows
- browser use、screenshots、computer use
- コード以外の分析や資料処理も混ざる仕事
- 一つの強い標準ルートに寄せたい場合
多くのチームにとって本当に高いのは token 単価だけではなく、複数の default を維持する複雑さです。GPT-5.4 は、その複雑さを減らしやすいモデルです。
特に、長いドキュメントを読み、リポジトリを追い、ツールを呼び出し、その結果をまとめて次の手順に渡すような連続作業では差が出やすくなります。こうした仕事では、単発の出力品質だけでなく、途中の判断や接続が崩れにくいことが重要で、その意味で GPT-5.4 を主線に置く価値があります。
GPT-5.2 を残すべきケース
GPT-5.2 は「標準」ではなく「意図的な例外」として残すのが自然です。
次のケースでは今でも意味があります。
- input cost を強く抑えたい
- すでに GPT-5.2 用に調整した flow が安定している
- 400K context で十分足りる
- Enterprise の legacy surface に引っ張られる
- GPT-5.4 の隣に安価な fallback lane を持ちたい
要するに、GPT-5.2 を残す理由は今でもあります。ただし、それは「昔の主力だから」ではなく「今でもこの用途には向いているから」であるべきです。
言い換えると、GPT-5.2 は常用モデルではなく、コスト最適化用の専用レーンとして扱う方が整理しやすいです。長い reasoning や広い tool posture が不要な仕事だけをそこに流せば、主線の説明も運用もかなり簡単になります。
GPT-5.2 から GPT-5.4 へ移行するチェックリスト
- 新しい API/Codex ルートでは GPT-5.4 を main default にする。
- GPT-5.2 は安価な prompt-heavy レーンとして残す。
- long-context、multi-tool、cost-sensitive の3種類の実タスクを再評価する。
- GPT-5.4 で 272K を超える入力にコスト監視を入れる。
- Enterprise 利用者向けには API default と model picker reality を別々に説明する。
このやり方なら、主線は更新しつつ、安い補助レーンも維持できます。
移行の評価では、1リクエストあたりの単価だけでなく、運用全体の手戻りも見た方が実務的です。GPT-5.4 に切り替えることで、長いタスクの再実行や分割、手動補正が減るなら、見かけの価格差以上の価値が出ることがあります。
実際には、品質が重要なルートから先に GPT-5.4 へ寄せ、安価で反復的な処理だけを GPT-5.2 に残す形が最も扱いやすいです。そうすれば、主線の説明は単純なまま、コスト最適化用の補助レーンだけを明確に管理できます。
比較の結論を一文で言えば、「新しい標準は GPT-5.4、残すなら理由のある GPT-5.2」です。この整理ができるだけでも、実運用の判断はかなり速くなります。
モデル選定の会話を短くできるだけでも、移行の価値は十分あります。
FAQ
GPT-5.4 は GPT-5.2 の完全な置き換えですか?
新しい API/Codex ワークフローでは、ほぼそう考えてよいです。OpenAI もその方向で位置づけています。ただし、GPT-5.2 は安価な補助レーンや一部の legacy surface ではまだ意味があります。
GPT-5.4 の価格差は本当に価値がありますか?
より大きい context、広い tool posture、agentic な仕事を使うなら価値があります。逆に、単純で安価な prompt-heavy 処理が中心なら GPT-5.2 の方が合理的です。
API の制限はかなり違いますか?
公開されている tiers の範囲では大きな差は見えません。主な差は throughput ではなく default quality と context、tooling 側です。
なぜ ChatGPT Enterprise では GPT-5.2 がまだ見えるのですか?
Enterprise では shared limits、RBAC、legacy access といった運用上の事情があるからです。これは API の default recommendation とは別の話です。
どんなときに GPT-5.2 を残すべきですか?
input cost が重要、既存フローが GPT-5.2 で安定、あるいは Enterprise legacy surface を考慮する必要があるときです。それ以外では、主線は GPT-5.4 に寄せるのが自然です。
